パーキンソン病のお話 その15

副院長 菊本修
2024.12.26

パーキンソン病について、お話を続けます。
前回、「パーキンソン病では、線条体(せんじょうたい)には異常がない」というところで、話が終わりました。線条体は、「運動をスムーズにする」ことが仕事です。ただ、線条体が働くには、適切な指示が必要です。この指示にあたるのが、「黒質(こくしつ)の神経細胞」から「線条体の神経細胞」に向かっての情報伝達に使用される「ドパミン」です(図1)。

図1

例えてみると、「線条体は一般職員」で「黒質は社長」「ドパミンは社長の指示」です。社長の指示であるドパミンが、適切に伝達されると、一般職員である線条体は、協力して適格な仕事をします。しかし、パーキンソン病では、黒質(社長)がノックアウトされ、指示(ドパミン)が出なくなります。そのため、一般職員(線条体)は、どのように仕事をしてよいかがわからなくなり、図2の症状が出現するのです。

図2