パーキンソン病のお話 その10

副院長 菊本修
2024.7.30

パーキンソン病について、お話を続けます。

                     図1

パーキンソン病では、以前、お話したように、図1に示す、「無動」「振戦」「(筋)強剛」「姿勢保持障害」などの「運動症状」が、症状の主体となります。各症状の詳細については、以前、お話しましたので、割愛させていただきます。

「パーキンソン病の運動症状が、なぜ、生じるのか」について、お話します。ちょっと難しい内容になりますので、いろいろと、準備をさせていただきます。
まずは、「神経系の役割とは」です。例えば、心臓は、「血液を全身にめぐらすこと」が、大きな仕事です。神経系の役割は、「情報を伝達すること」です。神経系では、「神経細胞(ニューロンともいいます)」が主役です。ひとつの神経細胞の中では、情報は「電気」で伝わります。ただ、情報を伝達するには、ひとつの神経細胞の中で完結するのではなく、「別の神経細胞」に、その情報を伝えなければなりません。ひとつの神経細胞と別の神経細胞の間には、「すきま」があります。「すきま」があると、「電気」では情報が伝わりません。「電気」ではなく、「神経伝達物質」という「化学物質」が必要になります。パーキンソン病では、「ドパミン」という神経伝達物質が重要です(図2)。

                      図2

続きは、次回以降で、お話します。