パーキンソン病のお話 その11

副院長 菊本修
2024.8.30

パーキンソン病について、お話を続けます。
前回、パーキンソン病では、「ドパミン」という神経伝達物質が重要だとお話しました。ここから、やや難解なお話になりますが、お付き合いをお願いします。図をご覧ください。

図の左下は、脳をあらわしています。左が前で、右が後ろです。この図は、脳を表面から見たものではありません。脳を縦切りにして、脳の内側を見ています。脳は、大きく、大脳(だいのう)、間脳(かんのう)、脳幹(のうかん)、小脳(しょうのう)の四つに区分されます。図で「黒質(こくしつ)」と書かれているところがあります。このあたりが「脳幹」になります。脳幹はさらに、中脳(ちゅうのう)、橋(きょう)、延髄(えんずい)の三つに区分されます。黒質は、脳幹の中の「中脳」にあります。この「中脳の黒質の調子が悪くなる」のが、パーキンソン病です。「変性(へんせい)」と呼ばれる病的な変化により、黒質の神経細胞の数が、次第に減少していきます。