パーキンソン病者における多職種連携の必要性

リハビリ課 理学療法士 西川久美
2024.1.29

1. はじめに

神経変性疾患であるパーキンソン病は、体の震えや前のめりで歩きにくいなどの、体の動きに出てくる症状と便秘、うつ症状、睡眠障害などの内面に出てくる症状が起きやすい全身的な疾患です。そのため、医師だけでなく、看護師、介護士、リハビリ専門職、ソーシャルワーカーなど多職種が連携して、パーキンソン病の方の必要な治療、ケアを行うことが重要です。

2. 当院での取り組み

当院にあるメディカルケアホーム(パーキンソン病等神経難病対象の経費有料老人ホーム)に入居しているパーキンソン病の方にむけて、多職種で共通したケアが行えるように、看護師、介護士、リハビリ専門職、事務職などがミーティングを行い、ケアに関する方向性の確認や取り組みの最善化を図っています。在宅でも、多方面からの医療ケアを受けることができます。

3. 実例紹介

パーキンソン病特有のON/OFF現象(症状が突然に悪くなる現象)が強く出現し、ONでは、杖歩行可能な状態ですが、OFFでは、まったく動けなくなり、介助を要する方がおられました。自室で、転倒を繰り返すため、職員から、あまり動かないようにと再三言われるため、ご本人の精神的な落ち込みもありました。どのような環境を作ることがご本人にとって良いことか、転倒を防止できるかについて、ミーティングを通して、多職種間で話し合いをしました。
話し合いを重ね、状態確認のために職員の部屋への訪問を増やすことを前提に、ご本人が動ける時には、歩行や四つんばいなどで自由に動けるように、転倒リスクのあるベッドから移動する生活でなく、部屋に敷いたマットの上で生活する環境に切り替えることを決め、実施しました。取り組みの結果、ご本人の表情は明るくなり、部屋でも、動けるときに自由に好きなことができるようになられました。このように、自由を奪うケアでなく、自由を確保することを前提とした転倒予防や環境調整をすることが、QOL(生活の質)向上につながっていくと考えています。