パーキンソン病のお話 その6

副院長 菊本修
2024.3.27

パーキンソン病について、お話を続けます。

図に、具体的な「パーキンソン病の運動症状」を示します。今回は、まず、一番右にある「姿勢保持障害」について、お話します。漢字が六つもならび、なかなか想像しにくいと思います。図を、ご覧ください。これは、どういう状況でしょうか?この方の場合、この方の正面(図の左側)に、他の人が立っていて、その他の人が、この方の肩を、ポンと、軽く押した場面だと想像してください。軽く押しただけですから、健常な方であれば、片方の脚を後ろに下げるなどの動作をして、からだ全体のバランスをとり、転倒することはありません。パーキンソン病では、この動作ができなくなり、転倒してしまうのです。以前、お話しましたように、パーキンソン病は、「必要な筋肉はスイッチ・オンにすると同時に、不必要な筋肉はスイッチ・オフにする」ことが困難になる病気です。説明が煩雑になりますので、詳細は割愛させていただきますが、この「姿勢保持障害」も、「必要な筋肉はスイッチ・オンにすると同時に、不必要な筋肉はスイッチ・オフにする」ことが困難になる、ということに起因することが、漠然とご理解いただけるとありがたいです。

この「姿勢保持障害」は、パーキンソン病を発症した初期にみられる症状ではなく、病気が進行するにつれて、表れてくる症状です。症状の重要度という観点からは、以前、お話した、「無動」「振戦」「(筋)強剛」の方が重要で、この三つの症状を合わせて、「3大症状」と呼びます。