パーキンソン病のお話 その5

副院長 菊本修
2024.2.29

パーキンソン病について、お話を続けます。

図に、具体的な「パーキンソン病の運動症状」を示します。今回は、一番左にある「無動(むどう)」について、お話します。「無動」というと、まったく動けなくなるように思われるかもしれませんが、いきなり、まったく動けなくなるのではありません。「動きがゆっくりになる」のです。「寡動(かどう)」という言葉が使われることもあります。まったく動けなくなるのではなく、動きがゆっくりになるのですから、「無動」よりも「寡動」のほうが、言葉としてふさわしいように思いますが、漢字がむずかしいためでしょうか、「無動」が、一般的に使用されています。

要するに、同じことをするのに、「以前よりも時間がかかるようになる」ということです。よくお聞きするのが、「以前は、青信号の間に、余裕で、横断歩道を渡ることができていましたが、最近は、なかなか脚が前に出なくて、青信号の間では、渡ることができなくなりました」などです。

パーキンソン病の症候の一つとして有名なものに、「仮面様顔貌(かめんようがんぼう)」があります。顔の表情がなくなり、のっぺりとした感じになります。表情は、「顔面にある筋肉の動き」で表現されます。この「顔面の筋肉の動きがゆっくりになる」、すなわち、「顔面の筋肉が動くのに時間がかかるようになる」ために、表情がなくなるような印象を受けるようになるのです。診察の中で、冗談を言っても、最初は、なんの反応もありませんが、しばらくしてから、「ハハハ」と、笑っていただけたりしています。