パーキンソン病のお話 その3

副院長 菊本修
2023.12.21

パーキンソン病について、お話を続けます。
前回、パーキンソン病は、錐体外路が障がいされて、「スイッチオン」と「スイッチオフ」が上手に調節できなくなることにより、「動きが悪くなる」病気ですと、お話しました。
この、「動きが悪くなる」ことを「運動症状」といいます。図に、具体的な「パーキンソン病の運動症状」を示します。

今回は、図の左から2番目にある「振戦(しんせん)」について、お話します。振戦とは、不随意運動(ふずいいうんどう)の一つで、「ふるえ」のことです。例えば、みなさん、今から、右手で、「ジャンケンのチョキ」をつくってください。このように、「自分で動かそうと思って動く運動」を「随意運動(ずいいうんどう)」といいます。これとは逆に、「自分では動かそうと思っていないのに、からだが勝手に動いてしまう」ことがあります。これを「不随意運動」といいます。人前で字を書く時など、緊張して指がふるえて、うまく字が書けなくなることがあります。これも、「自分では、ふるわせようとは思っていないのに、指が勝手にふるえる」のですから、不随意運動です。「生理的振戦」といい、健常な人でも生じます。病的なものではありません。「生理的振戦」は、字を書く時など、「動作時」に生じます。パーキンソン病でみられる振戦は、じっとしている時に生じます。「安静時」の振戦といいます。この「安静時に生じる振戦」が、パーキンソン病の特徴の一つです。