感情日記のすすめ ~病とともに、明日を生きる支えに~

リハビリ課 理学療法士 富樫誠二
2025.1.29

はじめに

昔から「一年の計は元旦にあり」といいます。すでに、新年を迎えて、早、ひと月がたちます。みなさんは、新年にあたり様々な想いや感情が湧いてきたのではないでしょうか。そこで、「今年こそは」という新年の決意をされた方も多いと思います。私も、今年の計を立てました。昨年の計は、ほぼ実行しましたが、成果は、まだでていません。そこで、今年も継続することを計としました。
自分のこだわりにとらわれず、その日一日をただありのままに精一杯に生きることを日日是好日といいます。とはいえ「人生は、苦あり、楽あり、長く、そして短い」と思います。パーキンソン病とともに明日を生きる支えに、一日の終わりに、一日の中で感じたうれしいかったことや悲しかったことなどの感情を日記に書くことをおすすめします。そこで、今回、感情日記について紹介します。

感情について

まず感情について、簡単に述べます。
ポール・エクマンは、感情を、幸福感・悲しみ・嫌悪・怒り・恐怖・驚きの6つの基本的感情について分類し、後に喜び ・安心・満足・面白さ・興奮・自負心・納得感・軽蔑・困惑・罪悪感・恥などの感情を追加しています。 感情とは取り扱いがむつかしい、やっかいなものですが大切なものです。そこで、感情を管理することがよく生きるためにとても重要です。感じることで心が動く(感動する)⇒ 心が動けば体が動く。感動はストレス軽減になります。 感情は陰性感情と陽性感情に分けられます。陰性感情とは、不快や苦痛を伴う感情のことです。陽性感情とは、喜びや満足感を伴う感情のことです。それぞれの代表的なものを示します。(表1)

陰性感情も陽性感情も、私たちが生きる上で重要な役割を果たしています。負の感情があることで危険を回避し、正の感情があることで幸福を追求することができます。健全なこころを保つためには、これらの感情のマネジメントが大切になります。

感情日記について

感情日記は、一日の生活の中で生起した自分の感情とその感情が生じた出来事を書き出します。感情を日記に書き出すことでストレスコーピング(対処)になります。これが最大のメリットです。さらに、感情を確認することによって自己理解が深まり、ストレス対処ができるようになります。書いている内容を振り返ることで、どのような状況や環境が特定の感情を引き起こしているかを把握する助けになります。感情を書く出すことで思考の整理もできます。とくによかったこと、うれしかったこと、感動したことを書くことは、ポジティブな行動につながります。感動するこころが、生きる力になります。感情日記を書き続けることによって、感情をマネジメントすることが上手になり、感動を綴る日が多くなると考えています。
私が、日記を書くようになって、数十年になります、読み返すとそのときの想いや熱い情熱が伝わって楽しく、懐かしくなります。断続的な日記ですが、最後まで続けようと思います。(図1)

図1 書き続けている日記

おわりに

人間は、感情とともに生きているといっても過言ではありません。私たちは、日常的に人間関係を含め多くのストレスに直面しています。そこで生起する様々な感情(陽性感情・陰性感情)と上手に付き合っていくことがストレスを回避するために大切です。 感情日記は、書くことによって自分の感情と向き合えます。パーキンソン病の症状改善のために感情日記を書くことをおすすめします。毎日、書けなくても、断続的でも続けることが大切だと思います。
ケアを行う場合、患者さんが書かれた感情日記をもとに、信頼関係を築いた上で、ケアする人とケアされる人が対話を重ね、お互いに感情―認知―行動の連鎖を理解することで、よいケアにつながると考えています。