チーム医療 ~多職種が関わることで、パーキンソン病が改善した例~

介護福祉士 川上久美 / 看護師 遠山静香
2024.7.1

医師の役割

医療(診療)を行い、病気の診断と治療方針を決めます。治療薬が必要なときは、患者様に適した薬を処方し、リハビリの指示をします。また経過をみて、その都度治療方針を決めていきます。パーキンソン病では、一日のうちで症状が変化することがあり、薬の効果や、効いている時間の長さも変わることがあります。十分な効果がでるように、日々の症状を細かく観察し、治療していきます。

看護師の役割

「その人らしい生活」を大切に、患者様一人一人に合わせた、生活の指導・支援を行っています。

1.生活管理
治療方針に基づいて、一日の動きの確認や薬剤の効果を観察し、活動に合わせて、必要な援助を計画・提案していきます。

2.家族支援
患者様はもちろん、介護されるご家族の方の不安を軽減します。
一日でも長く安心して過ごせるように、些細な悩み事でも解消できるように、サポートしています。

介護士の役割

衣服の着脱の介助、安全に暮らせる環境、食事の時にムセ込みがないかの観察、食事介助などを行います。
転倒の危険性が高いため、寄り添いながら、歩行の見守り、必要時には歩行の介助をします。

リハビリ専門職の役割

比較的症状の軽い段階から、患者様の状態や症状に合わせて、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などがリハビリテーション(以下リハビリ)を行います。

~症状に改善がみられた患者様~

Aさま(89歳) 病名:パーキンソン病 7年前発症 家族構成:奥様と二人暮らし、遠方に息子様在住

Aさまは入所時、食事は3割しか食べられず、食事介助、点滴をしていました。脱水などの症状が落ち着き、6日後には食事を全部食べられるようになりました。入所時は、環境の変化などでせん妄状態がみられた。夜間不眠のため、睡眠薬を飲んでいただき、落ち着いて過ごしていただけるようになりました。
生活指導として、横になっている際に膝の関節が曲がっており、できるだけ伸ばして寝るように説明をしました。入所時には車椅子に座り、足を自分で動かし移動されていました。関節可動域の拡大、両足の筋力が増強するように、起き上がりや立ち上がりと座る運動、立位のバランスの向上をリハビリで行い、歩行器で歩けるようになりました。
3カ月毎に、多職種でカンファレンスを行い、評価を行っています。異なる職種で、違った観点から観察することにより、多くの課題が見えました。チーム医療を行ったことで、現在のAさんの姿があると感じました。
また、私たち職員だけではなく、毎週、家族様が面会に来てくださるため、表情も明るく、リハビリへの意欲が増しています。
面会に来られた家族様からの差し入れを、自分で食べられるようにもなり、家族様からの喜びの声もいただきました。
今度も、チームと家族様と連携し、より良い医療を行っていきます。