リハビリテーション課 理学療法士 西川久美
2024.5.17
1.パーキンソン病と音楽の関係
パーキンソン病の治療では、「外からの刺激により体の動きが改善しやすく、特に、聴覚によるリズム刺激が最も有効である」といわれています。パーキンソン病の特徴の一つに、自分でリズムを取ることが難しくなる「リズム形成障害」があります。リズムがとりにくくなると、すくみ足や小刻み歩行になったり、声が小さく出しにくいなどの症状が出ます。そのため、パーキンソン病の治療では、音楽(リズム)を用いた運動や取り組みが注目されています。
2.音楽を用いた運動について
- 歩行に対して
リハビリの中で歩く練習をする際に、メトロノームや行進曲を流しながら行います。リズムの速度は、普通に歩くスピードか少し遅いリズムにすると、すくみ足や突進歩行が改善します。また、歩く練習を行わない時にも、少し速いテンポの音楽を毎日最低1時間聴くだけでも、歩行速度が改善した例があります。 - 発話に対して
声が小さく、長く出せないため、発話の内容が分かりにくい場合、リズムを使って発声練習を行ったり、目的に合った曲を使って歌唱を促します。特に歌唱は、リハビリ時間以外でも、カラオケを用いることで、楽しく発声の練習を行うことができます。
3.カラオケを活用しましょう!!
前述したように、カラオケは、発声練習の一環として利用できますが、それだけではなく、歌うことで口も鍛えられ、飲み込みにくさの改善に有効です。また、大好きな曲を思いきり歌うことで、趣味活動として生活の質(QOL)の向上にもつながります。
パーキンソン病の重症度が重い寝たきりの方でも、「思い出の曲が流れると、途端にマイクに向かって歌を歌い始める」といった光景もよく現場で見られ、驚かされることが多々あります。このように、日常生活を楽しみ、身体状況を改善させるために、ぜひカラオケを日常生活の中に取り入れてみましょう。当院でも、積極的にカラオケの時間を設けて、歌っていただいています。