一般にうつ病が重症になった場合は入院が必要とされています。その中でもまず、自殺の危険性がある患者さんには強く入院が勧められます。うつ病の症状の辛さに耐えきれずに「死にたい」、「このまま消えてしまいたい」などと直接的な自殺をほのめかすような発言があり、さらに「じっとしていられない」という焦燥感がある場合は入院の対象となります。しかし、うつ病患者さんの多くが実際に自殺を言葉で予告することは少なく、他人に迷惑をかけないようになんとか自分ひとりで問題を処理しようとしてしまいます。そのため、うつ病のときは悩みを一人で抱え込まないようにして、家族や周囲の方は、患者さんの悩みを誠意を持って受け止めるといった姿勢が大切になります。
この他にも、自分の病気はもう絶対に治らないと思い込む心気妄想や、このままでは治療費が払えなくなるといった貧困妄想など妄想状態が現れた場合も入院を必要とします。妄想が認められるのは、高齢者のうつ病で多いと言われています。
また、今のまま生活を続けているとなかなかよくならず、症状が重くなる可能性がある人や、ひとり暮らしの人、「小さな子どもがいてとても休養できない」など自宅療養が難しい人も、生活環境を改善する意味で入院が勧められます。
うつ病で入院する場合には、本人が希望して入院する「任意入院」という形がとられることが多く、期間は2~3カ月程度が一般的です。この場合、本人が帰りたくなったらいつでも入院を止めることができます。