回想療法をやってみよう

リハビリ課 作業療法士 渡邊哲也
2024.10.9

回想療法という治療技法をご存じでしょうか?
回想という名前から、昔の話をすることを連想すると思いますが、回想療法ではさまざまなプログラムにより、認知症やうつ病の方に対して症状の悪化を抑制したり予防したりすることができます。

回想療法の効果

回想療法を受けると脳機能が活性化し、さまざまなホルモン分泌を促進します。特にドパミン、セロトニン、オキシトシンという、いわゆる幸せホルモンの分泌が促進します。ドパミンは、快楽を感じる過程で分泌が増え、人の行動ややる気に影響します。セロトニンは、幸福感を感じるだけでなく恐怖感を抑制して精神を安定させます。オキシトシンは、不安を軽減し安心感を高め、他者への信頼感を高めることがわかっています。

回想療法のプログラム(一部抜粋)

回想療法では脳がより活発にするため、体の血流を増やし、脳へ酸素を供給するため運動から始めます。特に普段使わない筋肉を使うことで血流がより良くなります。プログラムの一つにリズム運動があります。リズム運動はセロトニンの分泌を促進します。歌を歌いながら、手拍子を打ったり肘や肩をリズムに合わせて触ったりします。体を動かした後は、4人一組になり話をします。10~15歳の頃について楽しくおしゃべりをします。皆さんが体験したこと、自慢話などを楽しく話すことでドパミンが分泌されます。

パーキンソン病になぜ効果的なのか

私の過去のコラムでは、パーキンソン病の方が運動しやすい方法としてリズムを刻むことを伝えてきました。またパーキンソン病の非運動症状として40%程度の割合で抑うつになるとの報告もあります。回想療法におけるリズム運動は、パーキンソン病の方にとって体を動かしやすくするだけでなく、セロトニンを分泌させて抑うつ状態の改善や予防に効果があるでしょう。

まとめ

回想療法は、心療回想士という資格を持つ人が行う治療技法ですが、資格を持たない方がやってはいけないというものでもありません。リズム運動などは比較的取り入れやすいプログラムですので普段の生活で取り入れてみるのも良いでしょう。また当クリニックには、心療回想士の資格を有する職員(筆者です)がいます。やってみたいことや困りごとがありましたらご相談ください。