パーキンソン病のお話 その12

副院長 菊本修
2024.9.25

パーキンソン病について、お話を続けます。

前回、「変性(へんせい)」というお話をしました。変性とは、「原因は不明ですが、神経細胞が徐々に死滅していく疾患」です。最近、新しい薬が使用可能になったことで、ニュースにも取り上げられることが多い「アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)」も、変性による疾患です。アルツハイマー病では、「大脳(脳の表面にある層)全体が変性」します。一方、パーキンソン病では、「中脳(ちゅうのう)にある黒質(こくしつ)という部位が変性」します。神経系は、「情報を伝達する」のが仕事です。一つの神経細胞の中では、「電気」で情報が伝わります。図の右半分をご覧ください。

上側が一つの神経細胞で、下側がもう一つの神経細胞です。「上側の神経細胞」から「下側の神経細胞」に情報が伝わる様子が、描かれています。「上側の神経細胞」と「下側の神経細胞」の間には「すきま」があります。「すきま」があると、電気では情報を伝えることができません。情報を伝えるためには、「神経伝達物質(しんけいでんたつぶっしつ)」とよばれる化学物質を使用する必要があります。