副院長 菊本修
2024.1.24
パーキンソン病について、お話を続けます。
図に、具体的な「パーキンソン病の運動症状」を示します。今回は、図の左から3番目にある「(筋)強剛((きん)きょうごう)」について、お話します。「(筋)強剛」は「固縮(こしゅく)」ともいいます。個人的には、「固縮」が正しいと思いますので(「パーキンソン病は、筋肉の病気ではない」からです)、今後、「固縮」を使います。
固縮は、図にありますように、肘を曲げたり伸ばしたりして、診察します。「パーキンソン病のお話 その2」と重なるところが多いですが、重要なことですので、説明させてください。
「肘を曲げる」仕事をしている筋肉を、「上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)」といいます。力こぶができる筋肉です。一方、上腕二頭筋の反対側には、「肘を伸ばす」仕事をしている「上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)」という筋肉があります。肘を曲げるときには、脳から、「上腕二頭筋に力を入れる」ように、指令が出ます。同時に、脳からは、「上腕三頭筋には力を入れない」ように指令が出ています。「力を入れる」のを「スイッチオン」、「力を入れない」のを「スイッチオフ」とします。「スイッチオン」と「スイッチオフ」が上手にできないと、「円滑に、肘を曲げる」ことができなくなります。一方、「肘を伸ばす」ときには、上腕二頭筋と上腕三頭筋の仕事が、「肘を曲げる」ときと正反対になります。「円滑に、肘を伸ばす」ことができなくなります。この「スイッチオン」と「スイッチオフ」が円滑にできなくなると、「固縮あり」という所見なります。