院長 井手下久登
2024.1.17
今、何が求められているか
出典)社会福祉法人 旭生会
経過
Hoehn and Yahrの重症度分類で、軽症の患者に比し、重症になるに従って、QOLは低下する傾向がある。すなわちADLに障害を認める患者の、QOLは低下する
出典)竹内博明他:パーキンソン病患者の主観的QOL評価
対応
運動機能障がいが、パーキンソン病患者のQOLを悪化させる、最大要因である。従って、運動機能障がいを改善させることが大切。新しい抗パーキンソン病治療薬や、iPS細胞治療などの、開発が必要である
出典)竹内博明他:パーキンソン病患者の主観的QOL評価
うつ病の合併
パーキンソン病は、多くの要因でうつ病を合併しやすい(40%前後)。うつ病のために、運動機能の低下などが進行し、QOLが低下する
出典)村田美穂他:パーキンソン病とうつ
生活上の注意
患者が「生活上の注意点について、理解する」ことが、QOL向上に必要である。個々の患者に合せた、運動指導、食事指導、服薬方法などを、治療側と患者が共有することで、病気の進行が遅くなる
出典)藤井千枝子他:難病患者のQuality of Lifeの向上についての一考察 – パーキンソン病患者の主観的満足度を通して
パーキンソン病患者が、主に心配していること
- 病気の進行に対する不安
- 経済的なこと
- 家族のこと
出典)岩本テルヨ他:在宅パーキンソン病患者の実態とQOL向上のための支援に関する研究
神経難病患者用QOL評価尺度
ご利用者の声を聞いて、対応する
- 行きたい所ややりたいことは、困難があっても、実行しますか
- 普段身の回りのことは、なるべく自分でするようにしていますか
- あなたは、たくさんの異なる症状に苦しんでいると、思いますか
その他合計27の質問があります。
(厚労省特定疾病の疫学調査研究班)
出典)星野明子他:神経難病患者のquality of life評価尺度の開発
パーキンソン病患者のQOLを向上させるには
- 多職種連携で対応する
- 患者会などに参加する
- 身体障害者手帳などの、各種手当を得て、経済的不安を減らす
- デイケアなどに参加し、リハビリする
- 訪問看護・訪問リハビリを利用し、入院・入所を防ぐ
- ADLの自立度を高く保つ。特に整容、清拭、下半身更衣ができる
- 電話使用などの、コミュニケーション機能を保つ
- 抑うつを改善する
- 動きやすい住環境整備にする
- 適切な病気の知識をもつ
- 介護・福祉サービスを理解し、利用する
- 旅行に行ったり、趣味を持つ
- 前向きで努力する、病気と上手につきあう
- 薬物治療で、病気を軽くする
- リハビリテーションが有効である
1)理学療法
2)作業療法
3)言語聴覚療法
① 言語療法
② 摂食嚥下訓練
4)音楽療法:身体的・精神的作用 - 栄養状態を把握し、飲み込みやすいもの、適切な姿勢などを探す(管理栄養士など)
出典)竹内博明他:パーキンソン病患者の主観的QOL評価
赤松智子他:在宅パーキンソン病患者の主観的QOLを高めるための条件