パーキンソン病のお話 その1

副院長 菊本修
2023.10.6

「パーキンソン病」について、お話します。

病気の名前には、「人の名前」に由来するものや、「地名」に由来するものがあります。例えば、最近、新しい治療薬のことで、ニュースに取り上げられることが多い「アルツハイマー病」。これは、病気の発見者である、ドイツ人の「アルツハイマー医師」、すなわち、「人の名前」に由来する病名です。もう一つ、最近のニュースで、その病気に関する「認定」が問題になった「水俣病」。これは、熊本県の「地名」に由来する病名です。紛らわしい病名として、「川崎病」があります。これは、どちらか分かりますか?「川崎病」は、発見者である「川崎富作医師」に由来する病名です。「神奈川県の川崎市」とは、なんの関係もありません。「パーキンソン病」は、イギリス人の「パーキンソン医師」が発見した病気で、「人の名前」に由来する病名です。

病気を理解するためには、「どの年齢層に多い病気か?」を知っておくと、頭の整理に役立ちます。「パーキンソン病」は、「高齢者に多い病気」です。20~30年前、すなわち、現在ほど、日本の高齢化が問題となっていなかった時代では、「パーキンソン病」は、極めて知名度が低い病気でした。高齢者の人口が、現在よりも少ないため、当然、「パーキンソン病」を病む人も少なかったのです。先ほどお話した「アルツハイマー病」も「高齢者に多い病気」です。「パーキンソン病」と同じ理由で、「アルツハイマー病」も、また、知名度が低い病気でした。ですから、当時は、「パーキンソン病」と「アルツハイマー病」が、よく混同されていました。

誤解を恐れず、極めておおざっぱに言うと、「アルツハイマー病」は、「物忘れなどがひどくなり、認知症になる病気」、「パーキンソン病」は、「動くことが困難になる病気」です。

次回から、「パーキンソン病」の具体的な症状などについて、お話する予定です。